今時?木製エンジンボートを作る

 

富士川河川敷に飛行場がある

SRC清水ラジコンクラブでは

暖かくなるとエンジンボートが大流行します。

 

前回製作したLNGタンカーは(これも木製)

クラブ内では15クラス最速を誇り、ABS船体キットを軽くぶっちぎっていたのですが

レーシングエンジン・チューンドパイプ・小柄な船体といった仕様で、

決まれば抜群に速いのですが、調整があまりにもシビアすぎて扱いが大変でした。

そこで、今年はもっと御気楽に楽しめるような仕様で製作してみることにしました。

 

どんな船にするか?

 

使う船体は、大阪に会社があっても東京堂の

今時めずらしい木製船体、なみはやパスファインダー20です。

 

キャビンの形状が、いまいち好みと違うので

自分で作り直してしまおうと

清水港に繋いである実船に似せて作る事にします。

コンセプトは、例によって

遅そうに見えて速い船です。

 

使うエンジンに対して、ちょっとボリュームのある大きめの船体ですが

(全長約70センチ、前作LNGタンカーは、たったの55センチ)

対波性、スペースの余裕からくる防水性などの理由でこれに決めました。

 

エンジンは、取り扱いの簡単なOS20FPマリンです。

このエンジンは、ベアリング無しのメタル仕様ですが、

錆びない・メンテナンスフリー!これが最大の長所です。

さらに、シャフト・スタンチューブもメタル仕様にこだわり

取り扱いの簡単さを重視してみました。

 

重くなっても丈夫に作って、沈没・紛失しないかぎり

10年以上は現役で航行する予定です。

現在2001年。10年後の2011年まで持つだろうか?

そのころ自分は、43歳。2歳の長女が中学生になってしまう。

 

製作開始

 

冬の寒〜い時期に作り始めたので、

エポキシ接着剤が硬くて

チューブから出すのに一苦労!

結局、チューブもろともお湯に漬けながら

使用する手間もあり、あまりに寒かったりで、

骨組みが出来るまで三日ほどかかってしまいました。

 

ここまでは部品点数は少ないのですが精度を維持するのに気を使います。

ボートは、ある意味で飛行機より精度が必要になり、

船底などは、本当に直線が出ていないと、水面に刺さったりするので

全開にできず、その船体は使い物にならなくなってしまいます。

日頃から作っている飛行機なら、多少ねじれたり曲がったりしても

一応は飛ぶ事ができるので、その点は楽なんですが。

 

 

骨組みができたところで、外板をはります。

ここは、いわゆる鎧貼り(ヨロイハリ)という構造で

通常のストライプを張り付ける形式に比べて

とても製作に手間の掛かる構造です。

船首には、コーンケープも付いてるし、

船底板が全て集まる所なので、削り合わせが大変でした。

 

後面、側面、船底と外板が貼リ終わったところで

エンジンを仮に載せてみてシャフト・ブラケットを固定します。

 

この部分の精度も重要でエンジンからぺラまで

一直線になっていないと、

振動やジョイント破損、船体のひび割れなど、いい事がありません。

 

逆に言えば、船底と、シャフトだけ精度がしっかりと出ていれば、

だいたい調子よく走る事ができるので

ここからの作業は精度をそれほど気にせずに

一気に進む事ができます。

 

エンジンボートは、外側は水に濡れるし、(あたりまえ!)

内側はオイルで汚れるので

全面、ホントに全面、見えない所までウレタン塗料で塗装します。

特に内側・エンジン周りは厚く入念に、塗り残しの無いようにしないと

そこから燃料が染みて船体は新しいのに廃船という事になりかねません!

 

生地完成

お楽しみの上部構造物を作ります。

四角い箱を作っているようなものなので

工作自体は簡単ですが、各部の寸法バランスを決めるのに

ボール紙でモックアップを作ったりするので

それなりに手間がかかります。

 

ここは、“走り”にはあまり関係ありませんが

船のイメージを左右する重要な部分なので

直角・平行がしっかり出るよう丁寧に工作します。

窓の穴をたくさん開けるのは、根気が必要ですが

ここまで進めば、頭の中では既に快走しているので

がんばります!

 

生地完成を写真で見ると、まるで子供が絵に描いたような可愛らしい感じのする船ですが、

けっこうボリュームのある船体です。スケール的には約1/15位になっています。

塗装作業

 

目止めを兼ねた下塗りをします。

使う塗料は

THCウレタンの白にタバコライオン(タルクの代わり)を

たっぷりと混ぜ、トロトロにした物を

厚くコテコテに塗りたくり、セトモノ状態にします。

硬化したら、荒いペーパーでバサバサ豪快に削り落とします。

 

塗り磨きを何回か繰り返し、

ベニヤの木目や船底のウネリ・ナミウチを埋めてしまいます。

特に船底は、アルミアングルにペーパーを張り付けた物を使い

完全に直線を出さないと、完成後に削り直しとなります。

 

 

下塗り塗装を塗って硬化待ちの時などに

細かな船具を作ります。

 

救命浮輪は、紙粘土製。

手摺は、ステンレス。ロープフック・マストなどは真鍮製とし

なるべく金属を多用して丈夫に作ります。

そうしておかないと、

クラブ内での模擬ヒートレース中のクラッシュに耐えられません。(エッ! その船でやるの?)

 

この作業のためにロー付けを習いに行ってきました。

(市川貴金属店さん、どうもありがとう!さすがプロの技!)

 

いよいよ色付け塗装です。

 

模型としては異様に地味ですが、モデルになった実船が

こんな感じだったので、模型の方も同様の色とします。

グレー船底の赤キャビンの白甲板の木目のクリヤー

全体に艶消しクリヤー(これもタバコライオン入り)

の順で吹き付けで塗装します。

 

この時、小物部品も忘れずに塗っておかないと

あとで二度手間になってしまいます。

ちなみに、取手などの小さな部品の塗装はドブ漬けです。

 

まだ、手摺やマストなどが付いていないので

非常にスッキリした感じに見えます。

スケール船は、ゴチャゴチャした感じが好きなので

いろいろと付けると、いい感じが出そうです。

完成後、何年にもわたって小物を追加していくつもりです。

 

実船は、確かにすごい散かり様で、錆だらけのオンボロです。

 

船体完成

 

小物部品を取り付けて、やっと完成です。

中身は、エンジンだけが載っており

この段階ではメカはまだ載ってません。

 

キャビン後の煙突は、銅パイプ製で

実際に排気をモクモクと出します。

 

全体的に非常に頑強な仕上がりで、

マストや、後部手摺を持って船体を

振り回すこともできます。

細かい部品には、全てステンレス線を

埋め込んで、穴をあけて取付てあるか

ビス・ナットで締めこんであるので

多少の事では部品が外れたりしません。

 

船首のアンカーを縛り付けてあるロープポストは、

船底まで貫通になっており本当に繋げて浮かべておく事もできます。

さらに、真鍮製のアンカーも実際に海底・湖底・地面に

引っ掛かるようにできていますが、苦労して作った船を

こんな小さなアンカーだけで留めておくのは

風に流されはしないかと、多少心配?

(ぶら下げておくと、カーペットなどに引っ掛ってしょうがない!)

 

屋根の上の装備は、すべて自作の金属製です。

ラッパは真鍮パイプの、へら絞り加工、

サーチライトは、アルミパイプの輪切りから

舷側灯は、アルミアングル・丸棒よりできています。

ボール盤があると、これらの加工はドリルレースで

割と簡単にできます。

実船は必ず装備しているので、GPSアンテナも作り

エンジンの振動で回るようにすると面白そうです。

 

後部には消火器も装備されていますが、

もちろん消火器としての機能はありません!

丸窓はアルミ製のハトメ、

手摺、ドアやハッチの取手は

ステンレス丸棒と割りピンでとても頑丈です。

キャビン後面の窓は、航行中の負圧でエアーを抜くため

素通しになっています。もちろん、前にはエアーインテーク!

その他の窓は、アクリル板を嵌め込んであります。

 

機関完成

 

今回は、取り扱いの容易さを狙って

ノーマルマフラー仕様になっていますが、

実用面で多少改造してあります。

ヘッドの向こう側なので写真では見難いのですが

アルミ角材にボール盤で縦穴を開けた物をロー付けして

ニップルをねじ込み、水を流し水冷ジャケットとしています。

このやり方は簡単な割に、よく冷えるのでオススメです。

 

RCメカは、タッパ−の中にすべて入れて密閉してしまい

完全防水となっています。多分・・・・・・

本当は、沈めてみないと分かりません。

スイッチも、アンテナも独自のアイデアで防水となっています。

おそらく、船が水没してもメカは濡れないと思います。

(隙間に発砲スチロールを詰めてあるので沈没は無いと思う)

 

 

初航行

これが、予想以上にハイスピードで、作った本人もビックリ!でした。

なんといっても、15パイプ付きのABCニトロファルコンと

どっこいのスピードで走り回れる。(一番右の写真)

 

エンジンも調子良く、かかりもいいし、燃費も良好。

200ccのタンクで20分は全開で回っていられる!

去年、使っていた15パイプ付きエンジンの倍は確実に走ります。

このエンジン、オススメですよ!そりゃ、21レーシングにはかなわないけど・・・

 

走りのイメージとしては、よくニュース映像に出てくる

日本海を逃げ回る北朝鮮の不審船のようだ! 格好のわりに、異様に速い!

 

船体の方もいい出来で、変なクセは無い。ちょっとだけピッチングぎみか?

金属製のマストや煙突のため重心が高いのか旋回中のバンクが妙に少なく

まるで、ハイドロ艇の様。これは、ちょっと変な感じです。

 

この船なら、長持ちしそうです。

 

 

エンストしたら・・・

 

エンジンボートなので、

当然?沖でエンストすることも、たまにはあります。

そんな時は、リール付きの釣り竿を使うのが一般的ですが

そこは、年季の入ったこだわりの逸品

電動タグボートに出動してもらいます!

 

地球堂ミニボートシリーズの小さな船ですが(全長約43センチ・もちろん、こだわりの木製)

20キロはあろうかという大型ガソリン艇もゆっくりと曳いて来ることができます。

クラブ内での縁の下の力持ち!この船の調子を診てからでないとエンジンボートはできません。

釣竿での回収作業には、海のロマンは無い!

(回収できれば、そんなものは無くてもいい?)

 

10年後まで元気に無事に安全航行できますように!

2001年1月より製作。2001年4月22日、富士川SRCFAF飛行場南の池にて初航行。


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